ここでは、東京大学理学系研究科物理学専攻の過去の大学院入試問題および解答例を PDF の形式で提供しています。 これから物理学専攻に志望して試験を受けようという人の役に立てれば、と思って非公式的に公開している物です。
現在の所、1992 年から 2008 年までの 17 年分の過去問・解答例があります。 2009 年以降の物については、既に作成された解答例がないか探している所です。 何か情報をお持ちの方あるいは解答を作ってみたという方がいらっしゃったら是非ご連絡下さい。 尚、最新の過去問に関しては、公式の物理学専攻の過去問ページで入手する事が可能です。
下の方の「ダウンロード」の所から、ダウンロードしてご利用下さい。
昔、物理学科には物理学科の学生有志による物理出版という組織があり、院試過去問集を印刷・販売していたようです。 資料によると、1995年度の出版にまで遡ることができ、最初に TeX での組版が始められたのは早野龍五研の谷田氏の手によるもののようです。 その後は伝統的に、夏の大学院入試を控えた学生の有志が、前年度に実施された入試問題を解き、その解答と問題を計算機に入力しました。 その伝統が何年かに亙って続き、一年ずつ問題と解答が蓄積されてできたのが、ここに公開している問題・解答の集合です。 当初は、駒場の学生会館などで印刷・製本を行い、学生の間で学内または大学院入試ガイダンス等で販売を行っていたようです。 また内部のネットワークで共有していた時期もあったようです。 TeX の組版に関しては1997年度物理出版編集長の渡辺尚貴氏により専用のスタイルファイルが作成され形式の統一が図られました。 2000年度の編集長の矢田智揮氏により、スタイルの変更と共に pLaTeX 2.09 から pLaTeX2e への移行が行われました。
その後、Web 公開の時代が始まります。 一番初めは http://www-hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~yujitach/bs/ で立川祐二氏の手により公開されました。 元のページを見ると、2000/12/21 午後八時に初めて作成されたという事が分かります。 その後 http://www-hep.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~yamazaki/inshi.html にて 2002-2010 まで、 山崎雅人氏が管理されていました。 その後 http://tkynt2.phys.s.u-tokyo.ac.jp/~murase/inshi/ にて 2010-2017 まで公開した後、 現在の GitHub に (https://akinomyoga.github.io/ributsu-inshi-kakomon/) 移動しました。
ここに書いてある事は、先代の管理者である所の山崎さんのページに書いてあった物を元にしています。 私自身は、この問題・解答集の成立には立ち会っていないので、誤った事を書いているかも知れません。 何か御存知の事があったり、間違いを発見したりしましたら、教えて頂けると幸いです。
2022-03-07 2000年度編集長を担当された矢田氏から情報提供をいただきまして、 2000年以前の経緯について書き加えました。
問題・解答を公開する事に対する是非の意見があるとは思います。 しかし、大学院入試の解答の蓄積は全国的に見ても珍しく、また、特に東大外部からの受験者にとっては貴重な物であります。 この様な情報は広く公開して共有するのがあるべき姿であると信じて公開しております。
また、古い問題・解答に関しては、入試の制度の変更や傾向の変遷もあり、 今では入試過去問としては余り参考にならない物もあるかも知れません。 しかし、例え古い物であっても、純粋に物理の問題として含蓄に富む物であると思います。 入試の参考になるかならないかに拘わらず、物理の学習に役立てていただけたらと願っております。
当然ですが、入試問題の著作権は物理学専攻に帰属しています。 また、英語の問題中に引用されて登場する文章の著作権は、それぞれの文章の著作者にあります。 一般的な見解としては「入試問題などに於ける使用の場合には原文の著作権は例外的に問わないが、 問題集・過去問集として二次的に商用で用いる場合には各々許諾を取る必要がある」というのが普通だそうです。 しかし、ここで公開するのは商用ではないのでこれには当たらないと判断しております。
また、解答に関する著作権については、本来は解答を作成・入力された方に帰属する物ですが、 この解答の蓄積が形成され引き継がれた経緯から、黙示的に管理を委任された物と解釈しています。 もし解答を作成された方で、自分の解答が公開される事が嫌であるという方は、連絡して頂ければ削除致します。 (その場合には、更に他の方の作った解答に置き換えられると思います)
ここで公開する物についての著作権は放棄していません。 特に、解答については、答えの数値や式変形に著作権はありませんが、 解説・体裁・全体的な構成にはちゃんと著作権が発生するはずです。 もしも商用の物にここの問題・解答を利用する際には、 物理学専攻・英文の著作者・解答作成者のそれぞれに承諾を求める必要がある事を御確認下さい。
問題・解答は PDF 形式で配布しています (以前は PostScript 版も公開していましたが需要はないと思われるので現在は公開していません)。 一つのファイルに問題と解答が両方入っています。 ファイルサイズに注意してダウンロードして下さい。
一々ダウンロードしていくのが大変という場合は、 全ての内容をまとめたファイルが表の一番下ありますので、それをダウンロードして下さい。
※ 2006 年 (2007 年度入学者試験) から英語は TOEFL で実施される事になりました。(TOEFL の問題・解答はありません) また、過去問の英語は要らないという方の為に、一般教育科目から英語を除いたファイルもご用意しております。 (1999 年度までは一般教育科目に英語・数学・物理が含まれていたようです。 2000 年度からは物理は専門科目のみになり、一般教育科目は数学と英語のみになったそうです。)
Adobe Reader というソフトウェアで PDF ファイルを閲覧することができます。adobe.com から Adobe Reader をインストールして下さい。
特に、図書館などの公共の場所で大量に印刷するのは、他の人の迷惑にもなるので控える様にして下さい。
誤りを発見された場合には、メールで教えて戴けると嬉しいです。 特に、編集ミスにより問題が抜け落ちている可能性や、解答自体に誤りが含まれている可能性があります。 本質的でない間違いも含めるとまだまだ沢山あると思います。
但し、メールをして戴いても、直ぐには更新しないかも知れないので、その点に関しては御了承下さい。
(※ この節は山崎さんの書かれた物をそのまま転載しています)
これまでよく聞かれたことについて2,3書いてみました。 何か書いて欲しいことがあったら質問してもらえれば、もしかしたら増えるかもしれません。
Q: 理学部物理学科以外、あるいは東大以外からでも院試には合格するものでしょうか?
A: これは、東大の外部から受験される方からよく聞かれる質問ですが、当然東大以外からでも合格した方は大勢いらっしゃいます。 実際、学部の物理学科での定員よりも、大学院の定員の方が圧倒的に多くなっていますので、 単純に考えても結構な数が東大の外からやってきます。もっとも、物理学科からそのまま進学してくる学生が比較的多いというのも事実です。
Q: 試験では何点ぐらい取ればいいのでしょうか?
A: 受験生が一番気にするところかもしれませんが、私は知りません。その年の問題の難易度、採点基準、また希望する研究室等によってかなり変わってきます。ただし、一般論としては、特に近年の問題は易化する傾向にあるので、それなりに高得点を取ることが必要とされる場合も少なくないと思います。
Q: 研究室訪問には行った方がいいのでしょうか?
A: これは、遠方にすんでいてなかな東京に来れないとか、いろいろ状況にも依存するとは思いますが、一般論としては、自分が進学を希望する研究室をまえもっていくつか訪問してみることをおすすめします。別に研究室訪問に行かなかったからと行って大学院入試で不利になるとかいうことはないと思いますが、やはりもしその研究室に進学することになったら、自分の大切な人生のうち2年あるいは5年を過ごすわけですから、大学院に入ってから後悔しないように(といっても大学院に進学してから指導教官を変更することもできますけれども)、自分の目で確認しておくといいでしょう。先生の話だけではなく、院生の話も聞けるとなおいいですね。
また、それとは別に、近年の物理学科は、(研究室ごとではない、全体の)各種ガイダンスに力を入れているようですので、それらに参加してみるのもいいかもしれません。